しばしばゼリーまれに本ごはん

春夏秋冬、季節に関係なくゼリーを作って食べています。

透明なものが好き☆スマスマ最終回/予定調和をやぶる諸々

透き通ったものが好きです。ゼリーが好きなのはもちろん、洗濯バサミも、歯ブラシの柄も透明なものが好きです。物心がついたころからそうでした。

特に理由の見当たらない「好き」って、不思議ですね。

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さて。

きっと、多くの人がこの件について書いているだろうことを考えると、日々、せっせとゼリーを作っちゃ、食べているだけのブログで、昨夜のSMAP×SMAPの最終回について言及するのはどうかと思いつつ、昨夜はファンでもないのにウンウン煩悶してしまったので、感じたことを残しておこうと思います。

昨夜の最終回、最後、歌が終わって、SMAPが深すぎるくらい深々と頭を下げ、幕が下りていくのを見たとき、思わず大泣きしてしまいました(注:真央ちゃんのスケートでもマラソンの中継でもすぐ泣いてしまう涙腺ゆるらーなので、わたしが泣くこと自体にはあまり価値はありません)

「国民的アイドル」と称されてきたSMAPの最後の「絵面」として、メッセージを一言も発さず頭を下げる姿に、あまりにも気の毒な痛々しい感じと、異様な感じがしたからです。ファンではないわたしが泣いてしまうのだから、ファンの人たちは、これはたまらないだろうなーと思いました。

「かわいそう。かわいそすぎる」と、うおうお泣きましたが、かわいそうなのはいったい誰なのか、SMAPの5人なのか、SMAPのファンの人たちなのか、こんなただならぬものを見せられているわたしたちなのか、なんだかよくわかりませんでした。

あまりにもひどいと思いました。本来、テレビなどのエンタメの基本は、虚飾をふくめ、「予定調和」だと思うのです。いくら毒舌キャラが登場しようと、いくらどんでん返しだろうと、その毒舌自体、どんでん返し自体がキレイに「あるストーリー」の中におさまっているものです。そのストーリーは、いくら斬新なもののように見えても、同時に既視感のあるもので、だからこそ一般聴衆は安心してその世界を消費することができると思うのです。

そういう甘ったるさにいくら辟易する人がいても、エンタメというのはそういうもので、いろいろな種類があるにせよ、「決まった文法」で語られています。

それが、前回の異様な生謝罪から始まって、今回の解散劇ではまったく、この文法が使われていませんでした(というか何も語られていませんでした)。これまでこの文法をさんざん駆使してエンタメの頂点にいた彼らだったのに……。だから、非常に「異様な」「異常な」、見たこともないものを見たような、見てはいけないものを見せられたような感じがして、わたしを含め、多くの人はとまどいを覚えたのだと思います。

正規の文法で語られる場合、それこそ森君の脱退のときのような絵面になるのが王道でしょう。解散するにせよ、5人は森君以上にいくらでも感動的な王道を選べるはずだったのに選びませんでした。

テレビの中の世界なんて虚実ないまぜです。みんな知っています。たとえ、いまひとつ好きじゃなくても、「好きだ☆」って言う。ちょっぴりおいしいだけでも、「すごくおいしい☆」って言う。しんどいなー、と思っていても、「元気です☆」って言う。求められているキャラクターを発揮することができてこそエンターテーナーです。少年のころからそういう世界で何十年も活躍してきて、それこそ「演じる」ことについてはプロ中のプロだった5人です。ラストだって、「求められている絵面」を演じることはできたはずです。

こじれた末の解散だったとしても、彼らの中で何も解決できていなかったとしても、求められていることを果たすことはできたはずです。

でも、ラストのラストにそれを拒否しました。ファンを前に、視聴者を前に、公共の電波にのせ、プロとしてそれをやってのけるのだから(そして結果としてそれが許されるのだから)、それこそSMAPでしかできないことだと思います。

わたしたちは、安易なストーリーを求めたがります。たとえば、ラストのラスト、今回のように5人が一言も発せず、おたがいに握手もしなかったとしても、もし、ほんのちらっとでも視線を交わしたとしたら、それだけでもほっと胸をなでおろしたと思います。そこで、ストーリーが生まれたと思います。でも、それさえもしませんでした。すごいと思いました。強靭な意志で今回ばかりはエンタメの文法を拒否したのでしょう。

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ほとんどの多くの人が、そしてSMAP自身も、SMAPのこんな最後を想像だにしていなかったと思います。グループなのだからいつかは解散するとしても、こんな形ではありえない。今回の形は、用意されたストーリーを大きくはずれ、「予定調和」をやぶりすぎです。

そして、昨今は、大きすぎる災害や事故、政治的ないろいろ、イギリスのEU離脱や、米新大統領誕生など、「あれっ、今まで語られていたストーリーとちがうんじゃない……?」ということがいつの間にかジリジリと増えていて、わたしたちの居心地を妙に悪くしているように思うのです。

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また、ゼリーの日々に戻ります☆